アドラー心理学を理解する上で、過去と未来についての議論は重要です。
原因は本当に原因なのか?
アルフレッド・アドラーとなにかと比較されることの多いフロイトは、問題の原因を過去に求めます。たとえば「わたしがなかなか結婚できないのは、元カノに浮気されたことが原因だ」といった具合です。
過去に原因があり、そのため現在に問題が起こっているのだ・・・・・という論法は、わかりやすく納得もしやすいです。しかしアドラーは「うまくいかない原因が過去にあるとして、それであなたはどうするのですか?」とわたしたちに問いかけてきます。
さきほどの例でいうなら、「元カノに浮気されたことが原因」であるとしても、タイムマシーンで過去に戻って元カノの浮気を防ぐことは不可能です。原因を取り除くことができない以上、わたしたちは問題を解決することができません。
とはいえ「しょうがないですね」と諦めるわけにもいきません。わたしたちは「現在」抱えている不全感をなんとかしたいわけです。
そこでアドラーは、あなたが原因だと思っているものは、本当に原因なのか?と問いかけてくるわけです。たとえば・・・・・
もし結婚したら?
現在は結婚して幸せな家庭を築いている男性に「元カノに浮気された過去」について質問したら、おそらく「あのツライ過去があったから、今の幸せがあるのです。」と答えてくれる可能性もあるのではないでしょうか?
そもそも結婚し幸せな家庭を築いている男性にとっては、「元カノに浮気された過去」はどうでもいいことで、質問されるまで忘れている可能性だってあるのではないでしょうか?
そう。「元カノに浮気された過去」があるとしても・・・・・「だからこそ元カノを見返すような素敵な女性と結婚する」とポジティブに考えることもできるし、「わたしを裏切った元カノよりも素敵な女性はこの先永遠にあらわれない」とネガティブに考えることもできるのです。
あなたは「過去にこだわる」こともできるし、「過去から離れる」こともできます。あなたはどちらを選びますか?
過去から離れる決断
「嫌われる勇気」を読んで、「過去から離れる」決断を下す人もいます。
本書を読み納得しました。
自分自身の生立ちの虐待の被害者という考えから、長年先に進めないでいた自分が本書の中の青年または哲人と同じだった事に気づけました。
過去の事実は事実でしかなく、未来を決める原因にはならないし関係ない。
本書を読んで理解をしても、複雑性PTSDに罹患しているような人が未来に進もうとすると症状が出て進めないのなら、それは思想や勇気の欠如ではなく疾患なのだからしっかりトラウマ治療をすればいいと思います。
メディア媒体の変化、コロナ禍や戦禍の中、今までの価値観や常識が通用しない出来事があまりに多く起こるこの数年の間に、発行部数が世界累計で1000万部を超えましたし、時代がアドラーの思想に追いつくような気がしています。
ちなみに「過去にこだわる」人が多ければ多いほど、権力者には都合がよかったりします。
たとえば現在うまくいっていない人がいるとして、「あなたがうまくいっていないのは、あなたの過去が行動が原因です。一体、いままで何をやっていたのですか?」と突き放せば、その人を助ける必要性から免除されるからです。
過去にこだわって自分を自分で苦しめすぎないように!くれぐれもご注意を!
過去にこだわって自分を苦しめないように!くれぐれもご注意を!